渋野日向子が示した新たな決意。賞金女王へ再び「奇跡」は起こるか (2ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 それは、渋野自身が一番わかっているのだろう。現に、伊藤園レディスでまさかの予選落ちを喫して、女王争いから大きく引き離されてしまった彼女は、メディアに囲まれると、涙を浮かべて「すみません」とこぼしたあと、「残り3試合で一番やってはいけないことをやってしまった。(賞金女王は)自分にはほど遠いな......」と吐露。完全に諦めムードに陥っていた。

 伊藤園レディスの初日(11月15日)は、ちょうど渋野の21歳の誕生日だった。ホールアウト後には、大会運営側からケーキも用意され、「今までで一番たくさんの人に祝ってもらえました。生まれてきてよかった(笑)」と、満面の笑みを見せたばかりだったが、その表情が翌日には一変した。

「もう『賞金女王』って、私の口から言っちゃあいけないな、とすごく思いました......」

 デサントレディース東海クラシックで今季3勝目を決めたあと、自らの目標を上方修正し、「今後の目標は、賞金女王です」と言い続けてきた彼女だったが、もはや心が折れてしまったようだった。

 それでも、誕生日を迎えた日、渋野はプロゴルファーとしての新たな決意と気概を示している。21歳をどんな年にしたいか? と問われて、彼女はこう語った。

「21歳の一年間は、いろんなことを"覚悟"していく年になると思います。アメリカツアーのことも考えていかなければいけない年になる。いろいろな挑戦や、世界に羽ばたけるような準備をしていく1年になるんじゃないかなと思います」

 今年、来季からの米ツアーに参戦するメンバー登録は回避した渋野だが、現状でも全英女子オープンの優勝によって、全英女子オープンには今後10年間出場できる。他のメジャー大会、ANAインスピレーション、全米女子オープン、全米女子プロ選手権、エビアン選手権にも向こう5年間の出場権が与えられている。

 さらに、来年早々のHSBC女子チャンピオンズにも、ツアー優勝者の権利で出場が可能。他の米ツアーの試合にも主催者推薦で出場の機会は得られるだろうが、「来年は、アメリカのQTを受験する予定」と示唆。世界最高峰の"米ツアーに進出する"という気持ちを明らかにした。

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