「ゴルフ人生でダントツにいい」鈴木愛。賞金女王も東京五輪も見えた (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 2位に3打差をつけてスタートした最終日は、前半に4つスコアを伸ばし、16番で偶然目にするまで、リーディングボードには目もくれず、自身のゴルフに徹した。最終18番のロングホールでは、第3打をピン奥1mの距離に。難なくバーディーを奪い、通算17アンダーでフィニッシュした。

 完全優勝を遂げても、反省点を口にするのが鈴木らしい。

「前半は伸ばせたけど、後半は伸ばせなかった。サンデーバックナインで伸ばせる選手は強いし、そういう選手になりたい。昨日までの差があったので、今日は勝ち切れたと思います。

 本当に夢みたい。日本を越えた、世界の大会だからこそ、価値がある。これまでの15勝の中でも、1番か、2番に印象に残る試合になりました」

 賞金ランキングでは、2位の渋野日向子を抜き、トップに立つ申ジエにも約700万円差に迫った。東京五輪の代表枠にかかわる世界ランキングでも、前週の24位(11月10日時点)から、今回の優勝で、日本勢2番手につける渋野(同13位)に肉薄する順位までジャンプアップすることが濃厚だ。

「どちらも獲れたらベストだけど、(賞金女王と東京五輪出場なら)賞金女王になりたい。(賞金ランキング1位の)申ジエさんは(日本を含めて)世界で50勝以上もしていて、クラブの入れ方とか、うまいなって思う。そういう選手が上にいるのは当たり前」

 25歳ながら、すでにキャリア通算15勝を挙げている日本女子ゴルフ界のトッププロ。そんな鈴木でも、畑岡奈紗や渋野ら「黄金世代」の台頭は、当然ながら強く意識する。

「やっぱり『若い子には負けられない』という思いが強い。同時に、若い子たちと一緒に日本ツアーのレベルを高くしていきたい。たまに海外からやってきた選手がすぐに勝ったりするじゃないですか。日本のツアーが軽く見られないように、『日本人も強いんだ』という姿をこれからも見せていきたい」

 2019年シーズンの賞金女王は、百戦錬磨の申ジエか、キャリアハイの戦績を築いている鈴木、あるいはニューヒロインの渋野が、逆転でその座に就くのか――日本ツアーの"顔"を決する戦いも、残り3戦である。

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