「悲しかった」渋野日向子の揺れる思い。
賞金女王奪取へカギは1つ

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 最終日、渋野が奪ったバーディーは3つ。前述の2番とこの8番、そして15番のロングホールだった。

 15番はしかし、多くの選手に2オンの可能性があり、平均スコア4.68という、いわばサービスホールだった。渋野も2オンに成功。5〜6mのイーグルパットを外した末のバーディーだった。

「ナイスパット!」と歓声が上がるような、"パット力"で奪ったバーディーは、結局1つもなかった。

「ショットはよくて、パッティングがヤバい状態。後半は、19パッドですからね。タッチはだいたい合っていましたが、ラインの読み違えかな......。

 ショットが悪かったらどうしようもないですけど、パッティングって、やっぱり入ればスコアはかなり上がりますし、伸ばせる可能性があるゴルフではあった。だから、もうちょっとスコアが出たらよかったかなと」

 最終日のプレーはイーブンパー。通算6アンダー、12位タイで渋野は大会を終えた。

 賞金女王争いを繰り広げる申ジエは、通算8アンダー、8位タイ。大会前約600万円だった2人の差は、およそ800万円に広がった。それでも、最終18番ホールで、申ジエが短いパットを外さなければ、その差は1000万円以上に開いたので、渋野にはツキがあると言えるのかもしれない。

 しかし、自嘲気味にというか、謙虚にというか、渋野はこう述べた。

「『自分が賞金女王になるのは早いな』って。『そんなレベルに達していないのに、失礼なのかな』って思ったりしますけど......。でもやっぱり、目標は高く持ったほうがいい。賞金女王目指してがんばります」

 今シーズンの残りは5試合。だが、渋野は次週の樋口久子 三菱電機レディスを欠場。米女子ツアーのスウィンギングスカートLPGA台湾選手権(10月31日~11月3日)に出場する。

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