2019.10.27

渋野日向子は「吸い取られ」気分。
「もう一つの戦い」へチャージの予感

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 渋野は、13番(パー4)もチャンスにつけた。しかし、ピン左奥から打った4mのバーディーパットはカップに大きく蹴れられてしまう。

 6アンダーの渋野と12アンダーのテレサ・ルー。迎えた14番(パー3)では、テレサ・ルーがバーディーパットを先に沈め、渋野にプレッシャーをかける。これを外せば万事休すかと思われたバーディーパットを、渋野も必死に入れ返す。

 2人の争いがこの日、最も熱を帯びた瞬間だった。コースにも、どんよりとしていた朝方の空が嘘のように晴れ上がり、10月下旬とは思えぬ強い陽光が注いでいた。

 続く15番は、渋野が前日、競技終了前にグリーン右のカラーに乗せる2オンに成功し、バーディーを奪ったロングホール。ハイネックの丸首シャツに身を包んでいる渋野に対して、半袖のほうが思う存分プレーできるのではないかと、つい余計なお節介を焼きたくなるほど、判官贔屓が騒いでいた。

 そんななか、テレサ・ルーが2オンに成功。対して、渋野の第2打はグリーンに届かず、ピン手前のラフに吸い込まれる。結果、テレサ・ルーは楽々とバーディーを奪うも、渋野は第3打のアプローチを寄せ切れずにパー。2人の差は7打差と、決定的なものに広がった。

 その後、渋野は17番(パー3)でも1オンを逃し、左足上がりのアプローチが寄らずボギー。一方、ティーショットを1ピンの距離につけたテレサ・ルーはバーディー。コース上には「勝負あり」といったムードが包まれた。

「今日は、アプローチで全部落としてしまいました。17番は練習してきたアプローチだったんですが……。笑いながらラウンドできる内容ではありませんでした」

 ラウンド後、そう言って肩を落とす渋野。最終的に通算14アンダーとし、2位の稲見萌寧に3打差をつけて首位に立った同伴競技者のテレサ・ルーに対しては、半分呆れ気味にこう語った。

「バーディーが当たり前すぎるって感じの内容で、ベタピンばっかりですもんねぇ~。長いパットも入るし、『(私の分まで)吸い取られているな~』と思いました」