【木村和久連載】ゴルフコースの設計と円熟にまつわる「よもやま話」 (4ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 別に設計当時に戻すからって、樹木を苗木に変えるわけではありません。余計な気を伐採し、見晴らしをよくし、アマチュアゴルファーが楽しめる環境作りをする、ということです。

こんなコースがあっても面白いですけどね...こんなコースがあっても面白いですけどね... この夏、帝国ホテルなどを手がけた、近代建築の「巨匠」と言われるフランク・ロイド・ライトの代表作、『落水荘』(家の中に滝が流れている家)など8建造物が世界遺産に登録されました。

 そして今、ゴルフコースもひとつの文化遺産と見る動きがあります。そう考えると、日本の名コースが、世界遺産をはじめ、近代文化遺産みたいな扱いを受ける日も、そう遠くはないかもしれません。

 実際、英国ではセントアンドリュース市の、旧市街地とオールドコースを、世界遺産の登録申請(2011年)をしていますからね。結果はまだ出ませんけど、あながち夢物語ではない話です。

 もしそれが実現したら、日本のコースで登録申請するのは、やっぱり廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県)か、川奈ホテルゴルフコース(静岡県)かなぁ。チャールズ・H・アリソン設計のコースは、世界的にも評価が高く、まず外せませんよね。

 ならば、井上誠一設計のコースはどこか?

 大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)か、龍ヶ崎カントリー倶楽部(茨城県)か。

 そういう観点でラウンドするのも、楽しいものです。「オレのコース、世界遺産なんだぜ!」――そう言える日が、まもなくやって来ると思いますよ。

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