畑岡奈紗vs渋野日向子。メジャーで輝く若き2人の明暗を分けたもの (4ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

「課題」と言われても、渋野の場合、平均パット数(1.7578)は国内女子ツアー、トップの成績だ。優勝した全英女子オープンでも、難しいパットをスコンスコン入れていた。本来得意とするものが、この大会の2日目以降の3日間で、突如不調になったという話だ。ゴルフとは繊細な競技である。

 試合を盛り上げたのは、最終組よりひと組前で回る岡山絵里だった。15番パー4でバーディーを奪うと、畑岡との差は1打差に詰まった。

「14番、15番とリーダーボードを見ていたら、岡山さんが来ていたのがわかったので、その辺りが今日一日で、一番緊張したところです。15番のパーパットとか......。その分、16番のバーディーはすごく大きかったです」

 そう、畑岡が「大きかった」と語るバーディーパットを決めた時、逆に岡山は17番でボギー。畑岡の優勝が、事実上決まった瞬間だった。

「ミスしても笑うように心がけていますけど、それを忘れるくらい緊張することもあって、そうしたときにはキャディーがずっと話しかけてくれたので、『一緒に戦っている』って気持ちがすごくありました。

 何を話しているか? (キャディーの)相談に乗ったりですね。今年で結婚20年になるので、(奥さんは)何をもらったらうれしいか、とか。でも、私は結婚してないんで、『わからない』って(笑)。(キャディーとの会話では)プレーのことばかり話をしているとお互いに疲れると思うので、そこで(キャディーが)気を遣ってくれて、待ち時間とか(私にゴルフのことを)あまり考え込まさないように、ゴルフ以外の話をしてくれるんじゃないかな、と」

 とはいえ、ゴルフのことも考える。

「(この日も)プレーしながら、悔しかったことも思っていました。今年、海外メジャーで3度予選落ちしたこととか。とくに全英女子オープンは、日向子ちゃんが勝って、私も試合に出ていたのに、あれだけの差がついてしまった、とか。また、去年のこの大会で優勝できなかったことも......。ですから、(タイトルを)『取り返した!』って感じです」

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