畑岡奈紗vs渋野日向子。メジャーで輝く若き2人の明暗を分けたもの (3ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

「ダウンヒルだったので(ボールを)上げにいかず、手前から転がしました。アップヒルだとスピンがかかることを考えなきゃいけないし、下りのライでよかったな、と。シンプルに手前から転がしていけばいいですから、『チャンスだな』と思いました。打ったのは、58度(のウエッジ)。実は苦手な距離でもあったんですが、練習してきたんです」(畑岡)

 上りと下りとライの違いはあるにせよ、渋野が先述の6番でアプローチ(第3打)をショートさせたシーンとは対照的だった。

 この9番。ピンの背後はすぐに下っていて、ピンまで突っ込みにくい状況にあった。畑岡が言うとおり、手前から転がせば、ボールの落下地点は高く上げるより手前になるので、その分だけリスクは減る。論理的には難易度は低いのかもしれないが、畑岡のランニングアプローチは、難易度が高そうな極上のプレーに見えた。グリーン周りという特等席で、朝から多くの選手のプレーを定点観察してきたギャラリーの、割れんばかりの拍手こそ、そのアプローチの上等さを何より物語っていた。

 渋野にこの日、初バーディーが来たのは14番のパー5。セカンドをグリーン奥まで飛ばし、そこから2打で上がった。しかし、続く15番でボギー。最後まで波に乗れなかった渋野は、最終18番のロングホールでもバーディーを奪えず、この日イーブンでフィニッシュ。通算9アンダー、単独7位で大会を終えた。

「ああ、情けない」

 4日間の競技を終えた渋野の第一声だった。

 最終日に奪ったバーディーは、わずか1個。渋野にしては、楽しむポイントが少ない地味すぎるプレーだった。至ってそこに、完敗ムードを感じる。

「イライラしていますね。バーディーが獲れず、面白くないゴルフ。点数にすると? 40点ぐらいですね。課題が見つかった、という感じです。(その課題は)パター。ストロークは悪くない。読みかな。もうちょっと入れよなって感じで......。賞金女王を目指すためにも、もう少し上位に食い込みたかった。(賞金ランク1位の申ジエとの差は)少し縮まったようなので、これからの試合もがんばりたい」

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