2019.10.08

畑岡奈紗vs渋野日向子。メジャーで輝く
若き2人の明暗を分けたもの

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 それでも続く7番パー4で、セカンドをピン手前2mにピタリとつける。その脇にはリーダーボードが設置されていて、畑岡が2つスコアを落としていたことは、渋野の目にも入っていたと思われる。グリーンを取り囲んだ大ギャラリーは固唾を飲んで、そのバーディーパットの行方に目を凝らした。

 パットのラインは同伴競技者であるペ・ヒギョンとほぼ同一線上で、先に打つのも彼女だった。ペ・ヒギョンはわずかに外す。すると、隣接するホールで歓声が沸いた。「(5番で)畑岡がバーディーを奪い返した」と囁くギャラリーの声が耳に止まる。渋野にとって、このバーディーパットはもはや外せない一打になった。

 だが、こちらのホールのグリーン周りに沸いたのは歓声ではなく、深く、大きなタメ息だった。ぺ・ヒギョンが残した軌跡を参考にすることができなかった。渋野の、逆転優勝の目が潰えた瞬間だった。

日本女子プロ選手権に続いて、日本女子オープンも制した畑岡奈紗「3番、4番とボギー、ボギーで、まさかボギーが先行するとは思っていなくて、『どうしたら立て直せるのかな』と思っていたんですけど、やっぱり今日も風が強く、ピンポジションも難しかったので、『条件はみんな一緒だ』と思って、気持ちをなんとか落ち着かせていました。一旦悪いほうに転がると、パーを拾うのも難しくなる。そうしたなかで、5番でひとつ返すことができたのは大きかったと思います」

 畑岡は試合後、そう振り返った。

 圧巻だったのは、9番。1オンも狙える距離の短いパー4だ。

 渋野は、ティーショットをグリーン左脇のラフへ。奥に切られたピンまで10mもない場所まで運んでいた。一方、2組あとを回る畑岡は、ティーショットをミスヒットさせ、高さを出せずにコース内の木に当てる。ピンまで57ヤードのアプローチを残すことになった。

 チャンスだった渋野が、そこから3打を費やすことになったのに対して、畑岡は2打でボールをカップに沈め、バーディーを奪取した。光ったのは、ランニングアプローチの技巧だった。カップに寄せた距離は、わずか30cm。