渋野日向子、逆転に希望。カッコいい姿は「最終日に残しておきます」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

「難しいラインだったんですけれど、距離感バッチリで入ってくれたんで、そこで本当に気分が変わりました。ホッとしたし、ひと安心できたし、気持ちを切り替えることができました」

 勢いに乗って、続く14番のロングホールもバーディーを奪った。

 渋野のイケイケモードが全開になった理由は、まだある。14番のグリーン脇に設置されていたリーダーボードに、6アンダーになった自分の名前が再掲示されたこと。自らの目前で名前が入れ替わると、俄然やる気が湧いたに違いない。

 その時、トップは大里桃子で通算14アンダー。ユ・ソヨン、畑岡奈紗、岡山絵里、ペ・ヒギョンの4人が通算11アンダーで、それを追う展開。連続バーディーを奪ってスタート時の7アンダーに戻した渋野は、大西葵らとともに7位タイ集団を形成していた。

 トップとの差は、スタート時の5打差から7打差に広がったが、順位は9位タイからじわりと上昇。コースの状況に対応できている選手の数が少なくなっていることを、それは意味していた。

 渋野がこの日、"今日イチ"というべきシーンを披露したのは、およそ3mのバーディーパットを外し、ギャラリーの大きなため息に包まれた15番グリーンの次だ。

 16番パー3。高い弾道を描いたティーショットは、ピンに真っすぐ向かっていって、ドスン。ピンの根本、約20㎝のところに鈍い音を立てて着弾すると、グリーンを囲む大ギャラリーが沸いた。151ヤードの距離を、6番アイアンで狙ったショットだった。

 ピンに結びつけられた旗はこの時、激しく靡(なび)いていた。旗が引き千切られそうな勢いで。それほどの強風がビュービューと吹き荒れるなか、ボールがピンの根本に止まる、その静と動。そのコントラストには、高級感があふれ出ていた。

「(ホールインワンには)もうちょっと、でした。どうせなら、『入れよ!』という感じでしたけど、キャディーさんと『パターが入らないならショットでがんばろう』と話をしていた矢先に生まれたショットなので、本当によかったな、と」

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