奇跡の逆転優勝。「令和の怪物」渋野日向子の快進撃が止まらない (2ページ目)

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 その後も勢いが止まらない渋野は、12番、15番とロングホールできっちりバーディーを決めて、ついに首位の申ジエをとらえる。圧巻だったのは、その直後だ。渋野は栄冠を手繰り寄せる、劇的なチップインバーディーを奪ったのだ。

 16番、194ヤードのパー3。渋野はティーショットをグリーン左奥に外した。ボールはラフに沈み、渋野には難しいリカバーが課せられた。だが、渋野はそこから絶妙なアプローチを披露。ボールは、グリーンを取り囲んだギャラリーのどよめきが膨らんでいくなか、カップに吸い込まれていった。

 ギャラリーの絶叫がこだまするなか、2度、3度と力強く右腕を振った渋野。ボールを拾い上げると、満面の笑みでギャラリーの喝采に応えた。これで、この日8つ目のバーディーを奪った渋野は、スコアを13アンダーまで伸ばし、単独トップに立った。

 そんな渋野の勢いとは逆に、申ジエ、イ・ミニョンは、ショット、パットともに冴えず、スコアを伸ばせずに後退。最終組では唯一、2つスコアを伸ばしたテレサ・ルーが最後まで粘りを見せたが、結局、渋野をとらえることはできなかった。

 結果、通算13アンダーの渋野が大逆転V。全英女子オープンから帰国後、5試合目での凱旋優勝だった。

「全英女子オープンで優勝してから、およそ1カ月ちょっと経ちますけど、その間、自分のいいプレーや、自分のスタイルでのプレーがなかなかできませんでした。でも、今大会の初日にやっといいプレーができたんです。その(いいきっかけを作ってくれた)大会で優勝できたのは、すごくうれしいです」

 そして渋野は、今季の目標としてきた獲得賞金1億円突破も達成した。

「この試合で(目標の)1億円が突破できるとは思っていませんでした。すごくうれしいです。これでまた、新しい目標が持てると思う。それはたぶん、みなさんも思っているかもしれないですけど、賞金女王かな、と思います」

 渋野日向子の伝説は、まだまだ終わらない。

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