世界9位・畑岡奈紗に「完敗した」渋野日向子。「課題が見つかった」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 続く15番は距離の短いパー4。フォン・シャンシャンの第1打は右のラフに捕まる。畑岡の第1打も逆サイドのラフへ転がっていった。ところが、である。ラフが順目だったのか、ボールはツンツンと転がりなんとフェアウェーに戻ってきた。

 畑岡のセカンドショット。ピンまで70ヤード。使用したクラブは「(ウエッジの)58度だった」と言う。

 次の瞬間、このトーナメント最大の事件が起きた。

 携帯している単眼鏡で、ふわりと上がったボールの行方を追った。単眼レンズは、白いボールがピン方向に放物線を描いていく弾道を、確実に捉えていた。が、白球が突然消えた。エッと思ったその時だった。「カン、カララン!」と、金属音が聞こえてきたのは......。

 畑岡が放った第2打は、直径108ミリのカップに直接吸い込まれていた。グリーンを取り囲んだギャラリーは唖然。ほぼ全員が、声にならない声を挙げていた。

 動揺したのか、フォン・シャンシャンはダブルボギー。2人の勝負は、これをもって決着した。

 世界ランク9位の畑岡が、世界ランク21位のフォン・シャンシャンを制した試合。ひと言で言えばそうなるが、一方で、世界ランク13位の渋野が、9位の畑岡に"完敗した試合"という見方もできる。

 畑岡の意地を見た試合。

 渋野は全英女子オープンで優勝したあとのインタビューで、当面、海外でプレーするつもりはないと述べていたが、世界で活躍する畑岡に完敗した今となってはどうなのだろうか。心境の変化はあるのか。"シブコ"は国内のヒロインで居続けるのか、それとも......。

 できれば、海外ツアーで奮闘する渋野の姿も見てみたい。

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