2019.09.05

【木村和久連載】渋野日向子、
「数字の取れる選手」がついに降臨

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 全英女子オープンの最終18番ホールのウイニングパットは圧巻でした。同ホールを迎える前には、ギャラリーとハイタッチしまくりで、グリーンに上がってくる時には、大ギャラリーの歓声に満面の笑顔で応えていました。パットの際には、外すとプレーオフといった重圧をまったく感じませんでした。

 周囲から力をもらう発想が、今までの日本人選手にはありませんでしたよね。

 最後の勝負どころにおいて、入れば7200万円、さらに歴史的な快挙達成というバーディーパットをすぐに打てますか? 外して負けたら、賞金は半分以下ですよ。栄誉も何もありません。

 それを、あっという間に打ってしまう渋野選手の姿を見て、「あれぇ~」って思いましたよ。子どもの時から『巨人の星』を見て育っている我々世代からすれば、大事なアクションの前には、必ずひと呼吸あって、「目に炎を燃やしてから」って思うんですよね……。

笑顔が素敵な渋野日向子選手。彼女のおかげで、ゴルフファンが急増したことは間違いないでしょう それはともかく、「ゴルフは楽しい」という考えは、もし負けたとしても、渋野選手は”絵”になるってことです。負けても数字が取れる選手ってことは、ローラ・ボーの再来ですよ。

 ちなみに、ローラ・ボー選手というのは、昭和に活躍した美人ゴルファーです。圧倒的な人気がありましたが、成績は今ひとつでした。日本のゴルフ出版物で一番売れたのが、ローラ・ボー写真集とカレンダーと言われていて、某ゴルフ出版社の社屋は「ローラ・ボービル」と、いまだに言われています。

 勝敗に関係なく人気があるって、プロの世界じゃ”無双”ってことで、まさに敵なしです。加えて、今の渋野選手の状態からすれば、年内に2、3勝しそうな勢いですし、賞金女王にはリーチがかかったも同然。その人気はどこまで上昇していくのか、想像もできません。

 それにしても、アマチュアのオジさんから見ても、渋野選手のパターは男勝りで超絶でした。外れてオーバーしてもいいから、ガツンと入れるって、あり得ないです。世界のどんなプロにもマネできないパターです。