【木村和久連載】老後不安が騒がれるなか、ゴルフを楽しんでいいのか (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 で、そんな年金生活をしている先輩たちは今、どんな暮らしをしているのか?

 現在75歳ぐらいの先輩編集者たちは、たまにOB会などのコンペに呼ばれると、遠路はるばるやって来ます。長野や新潟などからも泊りがけでやって来る人もいます。みなさん、すごく元気で、ゴルフと宴会をやって大はしゃぎしています。

 結局、今の70代は"年金勝ち組"です。地方暮らしだと厚生年金に入っていたら、生活には困らないでしょう。加えて、地元で町おこしなどをやっている方もいて、ゴルフ代ぐらいは自分で捻出できるそうです。

 そう考えると、問題は現役世代ですね......。

(3)現役世代のゴルフ
 今、ゴルフをやっている人は、バブル時代にバリバリやっていた。あるいは、バブル後も仕事が順調だから勢いで続けてきた。もしくは、父親がゴルフを嗜んでいた影響を受けたり、友人に誘われたりしてやり始めたなど、理由はどうであれ、環境的に恵まれていた方が多いと思います。

 この世代は、マグロの遊泳と同じで「止まったら死んでしまう」世代です。毎日バリバリ仕事をして、余暇は飲んだり、騒いだり、ゴルフをしたりして、連日連夜、エネルギーを放出しまくっています。

 それはそれでいいのではないでしょうか。下手に守りに入って、お酒をやめたり、ゴルフを自粛したりすると、かえってストレスがたまって、心の病になりますからね。

 人生を深く考えず、今までのペースで、大いに稼いで、大いに消費する。それでいいと思います。そのためにも、統計やネガティブなニュースには惑わされないことですね。

(4)統計のカラクリに騙されないこと
 サラリーマンが集結する新橋のSL前広場で、よく街頭インタビューをやっていますよね。「お父さんのお小遣いは3万円で~す」とか、「1日500円のワンコインランチで月1万5000円が消え、唯一の楽しみが月2回、居酒屋に行くことで~す」とか言っているやつです。

 そこには、絵に描いたような"サラリーマン"が街頭インタビューに登場しています。実際、そういう人もいるでしょうけど、新橋にはキャバクラも、高級和食店やイタリアンもあって、どの店も繁盛しています。

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