世界中のファンが渋野日向子に熱視線。
笑顔とプレーの速さにホレた

  • 武川玲子●取材・文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 3日目、首位に立つプレーをした渋野は、すでに大会の"主役"だった。多くのギャラリーから行く先々で声援を送られ、ハイタッチの手を差し出されていた。そして、その一つひとつに手をかわしていた渋野が、18番ティーに向かう時だっただろうか。小さな子どもが、渋野にグローブをねだった。

 それに気づいた渋野は立ち止まり、しゃがみ込んで自らのグローブにサインをして、その子どもに手渡した。プレー中にはあまり見られない、珍しい光景だった。無論、その映像も世界中に流されていた。

「えっ? ダメですか? だって(子どもは)無視できないじゃないですか」

 ラウンド後、そのシーンについて問われた渋野は、そう言って屈託なく笑った。爽やかな笑顔そのままの、渋野のそんな思いやりにも、世界のファンは魅了されたことだろう。

 その渋野の笑みは「シンデレラ・スマイル」と呼ばれ、「笑顔はユニバーサルランゲージ(世界共通語)」であることを、再認識させてくれた。

 そしてもうひとつ、渋野の決断力の速いプレーも、世界中のファンを惹きつけた。セカンド地点では、渋野があまりにも早くショットを打つので、テレビカメラマンから「渋野のショットを取り逃した」と嘆く声が聞かれた。それほど、渋野のプレーはスピーディーだった。

 スロープレーは、ゴルフ人口減少の大きな要因のひとつ。ゆえに、渋野のプレーは「今のゴルフ界に最も必要なこと」と称賛された。

 さて、世界の舞台において衝撃的なデビューを飾った渋野には、世界中から今後の動向についての関心が集まっている。

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