【木村和久連載】多彩なマニアが存在。ゴルフはラウンドだけにあらず (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 1964年、愛知カンツリー倶楽部で行なわれた日本アマの決勝。勝負どころとなる14番ロングホールでは、飛ばし屋はティーショットで「アパッチ砦」と呼ばれる右側にある小高い丘越えを狙います。その丘を越えれば、2オンのチャンスがあるからです。

 しかし、そこを中部さんは、あえて左のフェアウェーのとおりに刻み、3オン作戦で見事に優勝を手繰り寄せました......って、もうぉトップアマの伝説自慢ですかぁ~。こういう話、私は大好きですねぇ~。

(2)マスターズマニア
 米ジョージア州のオーガスタナショナルGCで毎年開催される、PGAツアーのメジャートーナメントのマニアですね。このマニアは、おおむね2タイプに分かれます。

 ひとつは、毎年観戦に行くマニアというか、仕事としても行く人です。こういう人は多数いて、おおよそ選手関係者か、スポンサー筋やメーカー関係者、そしてジャーナリストです。いろいろな関係者が「マスターズだけは別格」と言って、毎年現地に訪れるのです。

 古参のジャーナリストになると、もう30回目とかですね。そりゃもう生き字引みたいなもので、初出場の選手に対しては「ようこそ」って感じになりますなぁ~。

 けど、もっとすごいのが、もうひとつのタイプです。一度も現地観戦をしたことがないマニアな人たちです。案外ね、こういう人たちのほうが恐ろしいほどの知識を持っていますから、話を聞くと、ぶったまげますよ。

 私レベルでも、聞きかじりのネタを持っていますよ。

 歴代大統領の中で、最も多くオーガスタナショナルGCでラウンドしたのは、アイゼンハワー大統領であるとか。同大統領は、コース内に「アイゼンハワー・キャビン」と呼ばれる住居を構え、そこで政務もこなしていたそうですよ。

 また、同大統領はスライサーで、17番ホールにある1本の大木が邪魔で「切り落とせ」と指示を出したとか。けれども、大統領のその要請をコース側は断固拒否した、といった逸話もあります。それにちなんで、その大木は「アイゼンハワーツリー」と命名されました。

 そのアイゼンハワーツリーは、数年前に大雪で折れてしまいましたが、その遺伝子を受け継ぐ苗木は今でも大切に残してあるとか。いつか、復活するんじゃないですかね。

 とまあ、あとはみなさんで、好きにマスターズを語ってください。ついでに言うなら、4大メジャーに詳しいマニアはものすごくいます。彼らが集まったら、もはや語り尽くせません......。

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