【木村和久連載】ゴルフ場はなぜ、頻繁に改修・改造工事を行なうのか (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 それがゴルフ好きの場合、「ゴルフ場の設計者」でしたね。自分の思い描いたコースを造ってみたい、と思ってしまうんですな。

 そして、実際にゴルフ場のオーナーとなった今、目の前に有名設計家が造ったコースがあるではないか!? 自ら自由に改造していい立場にある。ならば、「ここのグリーン周りに池をこしらえて」「ここも、もっと難しくして」と、あれこれ考えるわけです。

 現にそうやって、たくさんの名コースが改造されました。結論としては、そのほとんどが"改悪された"と言っても差し支えないでしょう。

 やっぱり、所詮は素人の考えです。ペットのトイプードルに、自分好みのグルーミングをして、自分のお気に入りの服を着せるのとは、訳が違います。

 コースを改造して、満足しているのはオーナーのみ、でしょう。

 単に難しくしたところで意味はありません。大事なことは、ゲストが楽しめるかどうか、攻め甲斐があるかどうか。加えて、品格があるかどうか。結局、そこまでの改造は、素人にはできませんから。

オーナーの自己満足にせよ、お客さんのためにせよ、極端なコース改造はどうなのでしょう...オーナーの自己満足にせよ、お客さんのためにせよ、極端なコース改造はどうなのでしょう... その結果、現在はどういうことが起きているのか?

 設計当初の姿に戻す"回復運動"が各コースで行なわれ、往年の姿に戻りつつあります。そもそも、そんなわがままなオーナーなんて、今はいません。バブル時代の名残でしょう。

(5)簡略化の流れによって
 結局、ゴルフ場は誰のために設計し、あるいは改造されるべきか。

 年1回しか使わない男子トーナメントのために改造するのは、馬鹿げています。もしプロトーナメントの舞台としたいなら、女子ツアーやシニアツアーを開催すればいいのです。

 距離はそのまま使えますから、改造の必要はありません。ラフを長くして、グリーンを速くすれば、トーナメントコースの一丁上がりです。ゆえに、女子ツアーやシニアツアーを誘致しようとするコースはたくさんあります。

 事実、それらツアーの開催コースは、どこもすごく人気です。

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