【木村和久連載】ゴルフ場はなぜ、頻繁に改修・改造工事を行なうのか (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 しかし現在、アマチュアでも飛ばし屋の方なら、ドライバーで260~280ヤードぐらい飛ばします。昔からあるコースだと、短く感じるホールが多くなります。

 そこで、ゴルフ場側も距離を長くする改造に踏み切ります。だからといって、すべてのホールを長くしても、アベレージメンバーからクレームが来ますので、いろいろと調整して、数ホールだけ距離を延ばす改造をしたりします。

 ただその改造は、アマチュアゴルファーの多くからはそれほど求められていません。コース側の見栄と言いますか、「ウチも長いホールがあるんだぞ」「チャンピオンコースなんだぞ」と、自慢したいだけなんですね。

(3)プロトーナメントの会場となる
 プロのトーナメントコース、特に男子ツアーの会場になることは、コースとしては非常に名誉なことです。有名トーナメントの使用コースとなれば、それが宣伝材料にもなって、会員権相場が上がり、お客さんもたくさんやってきて、営業的な効果も絶大です。

 そうなると、何億円をかけて改造しても、将来的には元が取れる――そう計算するわけです。

 しかし、全長7000ヤード超えのチャンピオンコースを造ったとしても、それが使われるのは年1回、わずか1週間のことでしょ。毎年開催されるビッグトーナメントならまだしも、たった1回で終わったら、あとは宝の持ち腐れです。

 ゆえに、もしプロトーナメントの開催で改造する場合は、ゴルフ場の経営者側と、メンバーらによる理事会側との思惑が一致したときだけ。それが決定事項となって大改造が決まれば、メンバーに多額の寄付を依頼するケースがほとんどです。

 ゴルフ場を自分の家のように愛して、惜しみなく寄付できるか? この時、ホームコースに対しての愛情が試されます。

 とまあ、いろいろと面倒くさいので、新規で男子トーナメントの開催コースに名乗りを挙げるゴルフ場は、今ではほとんどないです。

(4)オーナーのわがままで
 バブルの頃、ゴルフ場のオーナーが、有名設計家が造ったコースを改造したがりました。

 その昔、やってみたい職業と言えば......。男として生まれたからには、「映画監督」「オーケストラの指揮者」「プロ野球の監督」なんて言われていました(そこに「連合艦隊の司令長官」が入る説もあります......って、いつの時代?)。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る