タイガー・ウッズが完全復活。オーガスタには優勝オーラが漂っていた (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●取材・文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

「僕がマスターズの優勝に興味を持ったのは、1986年、46歳でジャック(・ニクラウス)が優勝したシーンを見たときです。当時、僕はまだ10歳の少年でしたからね。それでもその時の印象は強く、いまだに(脳裏に)焼きついています。

 彼が15番(パー5)で、第2打を4番アイアンで打ったシーンを見たとき、ショットの凄さもありましたけど、パトロン(ギャラリー)がものすごく喜んで、大歓声が沸いたんですよ。そのシーンが、僕にとっての大きなターニングポイントでした。『あっ、こうやってアイアンショットで果敢に攻めることで、みんなが喜んでくれるんだ』と」

 ウッズは、そのとき抱いた夢を実現。大活躍をして、世界中のゴルフファンを沸かすスーパースターとなった。

「あのときのジャックが46歳。今、僕が43歳......。なんだかうれしい気持ちですよ」

 あらためて、試合を振り返ろう。

 マスターズは3日目を終えた時点で、翌日のサンダーストームの予報があって、ひょっとすると「月曜日に最終日が持ち越されるのでは?」という懸念が選手や関係者の間で強まっていた。

 すると、マスターズ委員会は迅速に予定を変更。最終日は午前7時半スタート。アウト、インに分かれて、3サムでのラウンドに行なうことを決めた。

 マスターズでは、異例中の異例のことである。決勝ラウンドは2サム、ワンウェイが大原則の大会だからだ。

 そして、迎えた最終日。首位は13アンダーのフランチェスコ・モリナリ(36歳/イタリア)。2打差の11アンダーでトニー・フィナウ(29歳/アメリカ)とウッズ、3打差の10アンダーでケプカが続く。

 3人1組のラウンドとなったため、ウッズは最終組に入った。これが、ウッズにとっては、よかったかもしれない。目前の敵となる首位のモリナリがいたからだ。

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