マスターズが開幕。松山英樹は「不安ばかり」でも、逆に期待が膨らむ (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●取材・文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 4月7日(日)も、金谷と一緒にハーフラウンドをこなした。4月8日(月)は練習ラウンドをせずに、練習場で1時間ほどボールを打って終了。翌4月9日(火)は前半9ホールを回ったあと、雨上がりの練習場で遅くまでボールを打っていた。

 試合前日となる4月10日(水)は、午前中に小平智と一緒に後半9ホールをプレー。そのあとは、パー3コンテストにも参加せず、早々にコースを去った。

 つまり、大会初日を迎える前までに、松山は都合2ラウンドほどの練習にとどめている。

「風邪はだいぶよくなっています。でも、不安ばかりです」と言う松山だが、どの選手も入れ込んで、ともすると初日からの戦いを前にしてオーバーペースになりがちなマスターズの雰囲気を、あえて抑えているような気がするのだ。

 このマスターズの創設者で、「球聖」と呼ばれたボビー・ジョーンズ()は、当時のエスクワイア誌の独占手記の中で「唯一、私が(後進に)アドバイスできるのは、大切な試合の前から『あまり根を詰めるな』ということです」と語っている。
※アマチュア選手ながら数々のビッグタイトルを獲得。1930年には当時の4大タイトル、全米オープン、全米アマ、全英オープン、全英アマのすべてを制し、年間グランドスラムを達成した。

 それは、タイガー・ウッズ(アメリカ)をはじめ、世界ランク上位の優勝争い常連組は皆、当然心得ている。彼らが、しっかりとセーブしながら初日を迎えていることでも、それは実証されている。

 松山のショットは、日に日に整ってきている。彼の場合、「不安いっぱい」という試合に限って、好成績を残しているような気がする。それは、無理せずに丁寧な攻めをするからかもしれない。

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