【木村和久連載】ゴルフにも「ホーム」と「アウェー」ってあるの? (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 過去、日本のゴルフ界で、海外で活躍した第一人者と言えば、やはり「世界のアオキ」こと、青木功選手です。英語もさほど喋れないのに、ロッカールームで外国人選手に気さくに声をかけるそうです。そういうキャラクターですから、海外でもビビらず、ノビノビとしたプレーができたのではないでしょうか。

 なにしろ、帝王ジャック・ニクラウスに対しても「ヘイ、ジャック!」なんて、呼んでいますからね。そういう関係になれたのは、この試合があったからです。

 そう、1980年の全米オープンです。この試合で、ニクラウスと青木選手は4日間同組でラウンドし、「バルタスロールの死闘」と言われる名勝負を演じています。

 寄せワンパーとロングパットを決めまくり、「東洋の魔術師」と称された青木選手。最終日最終組でも、ニクラウスと同スコアのラウンドを展開していきます。フロントナインまでは、まさに互角の戦いでした。

 最終的には、ニクラウスに2打差をつけられてメジャー優勝を逃しました。それでも、青木選手の4日間の成績は「274」。このスコアも、当時の最少ストロークだったのですから、いかにすごい戦いだったか、ということですね。

 以前、海外ツアーに丸1年以上、参戦していた選手から話を聞いたことがあるのですが、「コースから何からすべてが違う」と、最初はかなり驚いたそうです。

 PGAツアーの選手は、小技はともかく、ものすごく飛ぶ選手ばっかりで、アベレージの日本人選手がツアーに参戦すると、まずその飛距離に圧倒されてしまい、必然的にテクニカルなコースの大会を選ぶようになってしまうんだとか。

 アメリカは大陸なので、移動時間も半端ありません。しかも、帯同キャディーとマネジャーなど3~4人のチームを組んで、移動の連続です。予選を突破しないとお金にもならないので、相当な負担となります。

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