ゴルフをやめた才能豊かな姉の代わりに。プロ2年目、松田鈴英の覚悟 (3ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 松田が結果にこだわってきたのは、姉・唯里さんの存在もあるのだろう。

 唯里さんは、2014年の日本女子学生ゴルフ選手権のタイトルを獲得したほどのトップアマだった。昨年賞金女王になった鈴木愛や、昨年初優勝を飾ってブレイクした川岸史果らと同世代で、ナショナルチームでも活躍していた。

 才能豊かな姉の背中を見て育った妹は、「姉は当然プロになると思っていた」と語る。だが、事はうまく運ばないもので、福井工大ゴルフ部で活躍していた唯里さんが突然、「ゴルフが楽しくないから、もうやめる」と切り出したという。

 唯里さんの思いがけない告白は、家族にとってはまさに青天の霹靂だった。ゴルフを始めた頃からずっと支えてきた父親とは、かなりもめた。

「父と姉は、1年くらい口をきかなかったと思います......。でも、それを見て『もう、私がやるしかない』と思ったんです」

 そうして、松田はプロゴルファーになる決心を固め、プロとして結果を出すことに執着した。

 そんな彼女も、事がスムーズに運んだわけではなかったが、見事にプロとなって、今季は上々の結果を出せるようになった。松田が笑顔を見せて、こう切り出した。

「(プロとして活躍できる)こういう日が来るといいなって思ってはいたんですが、まさか今年、シードを取れるなんて思ってもいなかったです。正直、ホッとしています。でも、これからが大変。来年以降もシードを取り続けないといけないので、プロゴルファーって本当に大変だな、という思いがあります。

 そうは言っても、これが自分の仕事だと思えば楽しいですし、(好きな)ゴルフでお金を稼いでいるので、幸せだなと思います。それに、姉が私の活躍をすごく喜んでくれていて、『成長したね』と言ってくれました。それが、一番うれしいです」

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