【木村和久連載】ゴルフは
「紳士なスポーツ」なのに、なぜキレる?

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

(2)静かなるブチキレ
 実際問題、ブチキレたとしても、多くの方は池にクラブを投げたりしません。あとで拾うのが面倒だし、我に返ったときに恥ずかしいじゃないですか。

 また、普通の人はキレても、周囲に怒鳴り散らしたりしません。むしろ、自ら冷静さを保とうと、必死に振る舞います。ですが、行動はチグハグになりがちなんですよね。

 最近の静かなるブチキレは、なんといってもフィル・ミケルソンでしょう。全米オープンの際、パターを打ったら、予想以上に転がってしまい、2打罰になるのを承知で、動いているボールを打ち返した事件です。あまりのグリーンの速さに、冷静さを失ってしまったんでしょうね。

 冒頭で触れたように、私も以前、静かにブチキレしたことがあります。あれは、本当に"地獄"でしたね。

 理由は、バンカーから全然ボールが出なかったからです。単に何回も何回もバンカーから打っていただけですがね。もはや、スコアなんか数えなくて、ただひたすら地面の穴掘りを続けていましたよ。

 ふと我に返ると、何回目かでボールが出て、そこからパターをしてぐったり。そうして、一緒に回っていた友人から、「ご苦労さん。今の17回ね」と言われたときには、嘆き悲しみました。

 反面、1ホール当たりのスコアの新記録を更新した喜びに、歓喜の涙を流しました......って、ほんまかいな。

(3)ブチキレ迷惑話
 テレビの試合中継で選手がブチキレしている姿を見るのは、ちょっと不愉快なんですが、こちらに実害がない分、安心です。ただ、他人であっても、一緒のコース内にいる人がブチキレた場合、とばっちりを受けることはあります。過去にそんなことがあったので、その話をしましょう。

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