挫折もカラッと乗り越える。東京五輪女子ゴルフの主役は98年世代 (5ページ目)

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

『黄金世代』の話に戻しますが、女子選手によく見られた挫折も、『黄金世代』の選手なら、従来の選手以上にスムーズに乗り越えていくのではないか、と私は思っています。

 ゴルフは精神的な部分が非常に重要な競技ですが、『黄金世代』の特徴として、ハートと頭の切り替えの早さが挙げられます。大会で大叩きして落ち込んでいるだろうなと思った選手が、「今日、ちょっと叩いちゃった(笑)」と、あっけらかんとしていたりすることが多々あります。

 男子の米ツアーで活躍するジョーダン・スピース(アメリカ)は、パットを外しても何とも思っていないように見えます。ハートと頭の切り替えがうまいというか、どこか「これはゲームなんだ」と割り切っているようにさえ思えます。

『黄金世代』は、このスピースと似たような感覚を持っているように見えます。この感覚は、それ以前の世代にはありません。

 宮里藍らの世代や、その下の世代とはちょっと違う。同じゴルフをしていながら、思い詰めることがなく、どこかカラッとしている。『黄金世代』のゴルフは、従来のゴルフとは微妙に競技が違うのではないか、とさえ感じることがあります。

『黄金世代』は、「入れれば勝てる。外せば負ける」というシビアな一面を幼少期から経験しています。そのうえで、もちろん個人差はありますが、応援してくれる人やスポンサーなどからの期待を、過度に背負っていないように映ります。ひと世代前までの選手が持ち合わせる、「この一打を外したら......」といった悲愴感のようなものを一切感じさせません。

 それも、『黄金世代』の特徴のひとつです。思考がよりシンプルで、「勝ちたい」という気持ちに、より純粋であると言えるのではないでしょうか。

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