挫折もカラッと乗り越える。
東京五輪女子ゴルフの主役は98年世代

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 日本でも、最近はそうした傾向が強くなっています。ナショナルチームやIMGのテクニカルコーチなどは、選手から「ここがうまくいかないので教えてください」と相談を受けたら、まずは「キミはどう思うの?」と聞くことから指導を始めます。

 そして、選手が「原因はここにあるだろうから、これをこう直す必要があると思う」と言えば、「キミが言うことは正しい」と答えたうえで、「今、キミが言った問題を解決するためには、5つの方法がある」という話をして、指導を進めていくような感じです。逆に言えば、選手が自らの意見、考えを示さなければ、指導にあたることはありません。

 第一、ゴルフのスイングは身体のさまざまな部分の動きと連動しているため、ひとつの動きを直そうとすると、その他の複数の動きにも関わってきます。結果、ひとつの動作を直すためには、全体的に変えなければいけないことが結構あります。

 そこで、最近の指導者は「キミが言っている問題を直そうとすると、ここと、ここと、ここに関わってくる。だから、いくつもの修正方法がある。例えば右の股関節を鍛えるのがひとつ。他にも、こういう方法で修正していくと、1カ月はかかる」と選手に伝えます。それに、選手が納得すれば、指導を進めていきます。あくまでも、選手の自主性に任せることが多いです。

 ちなみに、松山英樹のすごさは、他の選手は直すべき部分を指導者に見てもらい、指導者と相談して修正していくところを、彼は自分自身で問題を発見し、その解決方法も自分で考えて実践していくことです。

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