全米プロ選手権。松山英樹はメジャー制覇に必要な「幸運」をつかめるか (3ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 最終日、松山と激しい戦いを見せたのが、松山と同組で首位から2打差の4位でスタートしたトーマスだった。優勝の行方は、徐々にふたりの争いに絞られていった。

 序盤は松山が優勢だった。1番で1.2mのバーディーパットを外して、やや不穏なスタートになったものの、6番、7番で連続バーディーを奪取。松山が単独首位に立ってバックナインを迎えた。

 だが、そこから"幸運"を呼び込んだのは、トーマスだった。10番パー5では、ティーショットを大きく左に曲げながら、バーディーチャンスをつかんだ。そしてそのパットが、最後はカップの縁に止まりながら、数秒経って転がり落ちた。

 このトーマスの"ツキ"が、逆に松山の勢いを止めることになる。11番で1.2mのパーパットを外してボギーとすると、そこからまさかの3連続ボギーを叩いて後退。14番、15番と連続バーディーを奪って、再度トーマスに1打差に迫る粘りを見せたが、16番でまたもボギーを叩いて差を広げられてしまった。

 悔やまれるのは、その16番パー4。ラフから打った第2打が、フライヤーとなってグリーンをオーバーしてしまったのだ。その第3打を1.5mまで寄せたが、このパーパットが左に蹴られて万事休す。松山は結局、17番でバーディーを奪ったトーマスに3打差をつけられて敗れた。

「悔しいですね......」

 ラウンド後にそう言ったあと、松山の涙は止まらなかった。松山自身がもっとも悔やんでいたのは、ボギーにした11番(パー4)の、フェアウェーから打ったセカンドショットだった。

「難しくない状況から、ミスをしてしまった。アプローチとパットでしのげなかった。流れが悪くなる原因を(自ら)つくってしまった」

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