昨季の女王争いから急降下。今季、キム・ハヌルに何が起こったのか (3ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 そうした経験があるので、今は調子が戻ってくることを信じるだけ。1試合、1試合を大事にプレーしていきたいと思っています」

 キム・ハヌルの言うとおり、2011年、2012年と韓国ツアーで賞金女王となったときも、翌年から彼女はスランプに陥っている。ドライバーが不調で、イップス気味な状態にあった。おかげで、なかなか結果を出すことができず、当時韓国では"落ち目の選手"という意味で、彼女のことを「老将(ノジャン)」と呼ぶメディアさえあった。

 そうした苦悩を経て、キム・ハヌルは日本という新たな舞台に戦いの場を移して、3年でツアー6勝という結果を残してきた。酸いも甘いも知り尽くし、あらゆることを経験してきたからこそ、今の状態にも「焦ることはない」と言う。

「ゆっくり、自分のペースで練習して、いいときの自分が戻ってくると信じて、今は一生懸命やるしかありません。練習もしないで、調子が戻ってくるのを待っているだけでは、プロの選手として失格ですよね。とにかく努力を続けて、トレーニングも重ねて、精一杯がんばっていく。そうすればこの先、必ずよくなると思っています。

 それに、両親が精神的にも支えてくれています。『ここまで本当によくがんばっているし、何も焦る必要はない』と。そして、『"早く結果を出したい"という考えはするな』とも言ってくれています。そう言ってくれるだけでも、とても力になりますし、精神的に落ち着くことができます」

 状態が悪いときほど、必要なのは耐え忍ぶこと――その術(すべ)を心得ているからこそ、キム・ハヌルは投げやりになったり、諦めたりしない。

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