まもなく開幕の全英オープン。過酷なコースの歴史に残る「悲劇」とは (3ページ目)
小雨が降りしきるなか、バン・デ・ベルデは靴を脱いで裸足になると、ズボンをまくし上げて水の中へと足を踏み入れた。そして、「バリーバーンの中から第4打を打とうと考えた」というバン・デ・ベルデは、メディアやファンが固唾を飲んで見守るなかで、水の中に沈むボールをじっと見つめていた。その姿は"悪夢の象徴"として、今でも各メディアでしばしば登場する。
結局、バリーバーンから打つのをあきらめたバン・デ・ベルデは再び後方のラフにドロップ。その第5打はグリーンサイドのバンカーに入ったが、2mのパットを沈めてトータル「7」のトリプルボギーとした。かろうじてプレーオフ進出となったが、最後のパットを決めたときに見せたガッツポーズは、なんとも痛々しかった。
通算6オーバーで並び、バン・デ・ベルデとともにプレーを戦ったのは、ポール・ローリー(スコットランド)、ジャスティン・レナード(アメリカ)。3人で4ホールのプレーオフを行なった結果、チャンピオンとなって『クラレットジャグ(優勝カップ)』を手にしたのは、ローリーだった。
ただ、多くの人々の記憶に刻まれたのは、優勝したローリーよりも、敗れたバン・デ・ベルデのほうだったことは間違いない。
実際、あれから19年の月日が流れたが、カーヌスティで全英オープンが行なわれるたびに、この"悲劇"が話題となる。
「カーヌスティの悲劇」について振り返るバン・デ・ベルデ そして今年、バン・デ・ベルデはフランスの放送局のテレビレポーターとして、現地に訪れる。52歳となった今、当時のことについてこう振り返った。
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