まもなく開幕の全英オープン。
過酷なコースの歴史に残る「悲劇」とは

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 そんななか、安定したプレーで大会をリードしていたのが、当時33歳のバン・デ・ベルデ。3日目を終えたときには、後続に5打差をつけてトップに立っていた。

 最終日最終組でスタートし、さすがにその日は紆余曲折あったものの、最後の18番ホールを迎えたときには、2位に3打差をつけて首位をキープ。誰もがバン・デ・ベルデの優勝を信じて疑わなかった。

 最終18番は、487ヤードのパー4。フェアウェーの落下時点にはS字のバリーバーン(小川)が横切って、グリーン手前にもそれが続いており、選手にとっては非常にプレッシャーのかかるホールだ。

 そこで、ダブルボギーでも優勝というバン・デ・ベルデは、思いのほかアグレッシブだった。多くの選手がアイアンを手にするティーショットで、ドライバーを握って果敢に攻めた。

 ボールは右に出るとバリーバーンに向かっていったが、手前のラフでなんとか止まった。このとき、バン・デ・ベルデのキャディーは「これで勝った」と確信したという。

 しかしこのあとのことについて、同キャディーは「まるでホラー映画を見ているような"悪夢"だった」と、のちに回顧している。

 問題は、セカンドショットだった。セオリーならグリーン手前、それもバリーバーンの手前のフェアウェーに刻むところだが、バン・デ・ベルデは2番アイアンでグリーンを狙った。

 これが、右のスタンドに当たり、さらにバリーバーンの縁石に大きく跳ねて50ヤードほど戻され、膝丈もある深いラフへ。続いて、そのラフからの第3打が大きくショートしてバリーバーンへと吸い込まれてしまった。

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