優勝1オーバー。全米オープン「厳しすぎるセッティング」は是か非か (2ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 そうしたロースコアの戦いには、「コースセッティングが簡単すぎて、"全米オープンらしさ"が失われてしまった」という批判の声が上がっていた。

 ただここで、そんな批判に対しても、疑問の声が上がる。

「トッププロがパーをとることさえ苦しむオーバーパーの戦いを、見ているファンが本当に楽しめるのか?」「難コースを攻めてバーディー合戦になるほうが、プロの妙技を楽しめるのではないか?」という意見である。

 そこで、今年のシネコックヒルズGCでの戦いである。そもそもが難しいコースでありながら、第3ラウンドではあまりにも厳しいピンポジションに設定された。しかも、海から断続的に吹きつける折からの乾いた風によって、午後のグリーンは想定以上に速く、ボールが止まらなくなった。この"厳しすぎるセッティング"は、ほとんどプレー不可能とも思われる状態にあった。

 これに抗議するように、フィル・ミケルソン(アメリカ)はまだ動いているボールをパット。わざと2打罰を受けるような、前代未聞のプレーをして物議をかもした。また、日本期待の松山が2回も4パットをするなど、考えられないようなプレーが続出した。

 易しすぎると批判され、厳しすぎるとこれもまた批判の対象となる。

 結局、USGAはこの第3ランドのセッティングを「想定外の天候となり、必要以上に厳しくしすぎた」と誤りを認めて、最終ラウンドではややセッティングを甘くした。

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