14年前の全米オープン。丸山茂樹は絶望的コースをどう攻略したのか (2ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 そうした状況のなか、丸山はティーショットが好調だった。アイアンショットのキレも抜群で、着実にパーを重ねていくと、巡ってきた好機もしっかりとものにしていった。

 結果、初日はなんと4バーディー、ボギーなし。4アンダーでジェイ・ハース(アメリカ)らと並んで首位に立った。

 このとき、自信に満ちた笑みを浮かべて語った丸山のコメントが秀逸だった。

「ウッズが一緒だと、目標が目の前にいて、すごくいいプレーができる。テンポもすごくいい。(すべて)完璧なショットだった」

 第2ラウンドも、丸山はこの好調を持続した。4バーディー、2ボギーの「68」。さらにスコアをふたつ伸ばして通算6アンダーとし、フィル・ミケルソン(アメリカ)とともに首位で決勝ラウンドへと駒を進めた。

 ミケルソンは、この年のマスターズで初のグリーンジャケットを手にしていた。悲願のメジャー制覇を遂げて「無冠の帝王」の汚名を返上したばかりで、勢いに乗っていたことは間違いない。

 そのミケルソンと同組で臨んだ3日目、強風が吹いて一段と難易度が増したコースは、容赦なく選手たちに牙をむいた。ミケルソンが首位と2打差の2位に順位を落とすと、丸山も「74」とスコアを崩して、首位と3打差の4位に後退した。

 とはいえ、舞台は予断を許さない難コース。3打差なら、どう転ぶかわからない。丸山自身、逆転の望みを持って最終日に向かった。

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