【木村和久連載】酒とタバコとニギリ。
日本のゴルフ文化のルーツに迫る

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 また、ゴルフ場にある英国文化は「ポットバンカー()」です。
※ポットとは『蛸壺』の意で、小さく深いバンカー。 

 でも、日本じゃあ、青森の夏泊(なつどまり)ゴルフリンクスとか、数えるほどしかありません。それはなぜか?

 ちょっと意地悪だからです。日本では、一般的には受け入れられないんですね。

 英国文化には、ビリヤードのスヌーカーといった"相手のプレーを邪魔する文化"が浸透しています。つまり、自分のボールで相手の進行を塞ぐ考えです。

 昔のゴルフって、グリーン上のボールをピックアップせずに、そのまま置いておけるルールもありました。同伴プレーヤーの行く手を塞ぐわけですね。

 ゆえにその際は、カップの手前にボールを置かれたプレーヤーは、グリーン上にもかかわらず、ウェッジでボールを上げてプレーしていました。

 ほんと、意地悪ですよね。そういう"意地悪"が、英国文化の特徴と言えます。「ポットバンカー」もその象徴のひとつです。

 一方、日本のゴルフはアメリカの影響も受けています。そこから入ってきたゴルフ文化の筆頭は、なんと言っても乗用カートです。

 だから、左ハンドルです――というと、もっともらしいですが、実はクルマが小さいので、右ハンドルにすると、アクセルペダル部分がボディからはみ出てしまうのです。それで左ハンドルのほうが、都合がいいだけの話です。

 加えて、アメリカは景色のいい池やクリーク、そして花が咲き乱れているコースが好きです。もちろん模範となるのは、マスターズの会場となるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブです。アメリカのきれいなコースは、そこがすべての基準となっています。

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