【木村和久連載】酒とタバコとニギリ。
日本のゴルフ文化のルーツに迫る

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 タバコも同様です。英国紳士の場合、葉巻が主流だったと思いますが、プレー中に行なっていたそうした慣習が日本にも伝わって、タバコを吸いながらプレーできるようになったのです。

 タバコは、緊張をほぐし、気持ちをリラックスさせます。風向きを調べるときに役立つなど、ゴルフではいいことが多いのです。

 日本でもバブルの頃は、タバコメーカーがトーナメントのスポンサーになっていました。有名なプロが試合中に堂々とタバコを吸っている姿が、テレビ中継でも流されていました。たぶんそれは、スポンサーに気を使っていたのもあるでしょう。

 その結果、アマチュアはゴルフをしながら酒を飲み、タバコを吸っていいとなったのです。

 さらに、英国のゴルフ文化を受け継いでいるのが"賭け"です。ゴルフは、お互いに"ニギる"から、皆が切磋琢磨してプレーに燃え、日本でもこれだけ多くの人々に広がったのです。そういう意味では、ニギらないゴルフなんて、「クリープを入れないコーヒーみたいなもの」って......、いつの話だよ~。

 現在、日本では「その場を盛り上げる食事程度の金品」は、賭博の対象になりません。仲間のプレーヤー同士だけで、昼メシをかけたりしてがんばりましょう。

 ちなみに賭けの単位を「チョコレート」というのは、チョコレート程度なら賭けてもいいという意味で、一般的に使われるようになりました。けど、1チョコレートがいくらなのか、それぞれ違うでしょうから、まったくわかりません。「俺はベルギーの高級チョコを賭ける」なんて人、ほどほどにしましょうね。

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