【木村和久連載】「名門クラブ」と「名コース」の違いって何なのか? (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 その他、赤星四郎、赤星六郎、安田幸吉など、昭和の名設計家がこしらえたコースを大事に守り、今の名門倶楽部が存在しています。

 それでは、世界的なレベルでみて、日本のコースはどんな順位でしょうか。

 それについては、さまざまな媒体で「世界のゴルフ場ベスト100」「世界のゴルフ場100選」などといった特集が組まれて紹介されています。そこで、日本のコースで名前が挙がるのは、井上誠一や上田治設計のコースではなく、チャールズ・H・アリソン(英国)設計の、廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県)と川奈ホテルゴルフコースです。

 アリソンは"アリソンバンカー(※アゴが深く突き出たバンカー)"で有名な人ですが、ハリー・コルトという設計の神様の弟子でした。日本のオーナーたちは本来、コルトを招聘したかったのですが、高齢だったので、弟子のアリソンを呼んだようです。

 ちなみに、ゴルフコースの世界ランキングで長きにわたって1位に君臨しているパイン・バレー・ゴルフクラブ(アメリカ・ニュージャージー州)は、コースの創始者のひとりであるジョージ・クランプの設計ですが、同氏は建造途中で不慮の死を遂げてしまいます。そこで、そのあとを継いでコースを完成させたのが、コルトとアリソンだそうです。

 さて、そのアリソンですが、廣野GCを作るときには師匠のコルトに代わって、世界の名だたるコースのエッセンスを注ぎ込み、当時のコースの集大成を造ったとされています。

 ですから、パイン・バレーGCの名物ショートホールに似たデザインのホールが、廣野GCでも再現されています。そういうこともあって、廣野GCの評価がすこぶる高いのです。

 井上誠一と上田治もアリソンの影響を受けており、日本のコース設計の原点は、チャールズ・H・アリソンと言えます。

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