【木村和久連載】ゴルフに「平等の精神」なんて本当に存在するのか (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 建前はそうですけど、本音を言えば、ゴルフって不平等にできているゲームで、ヘタな人やお小遣いの少ない人たちは、圧倒的に不利です。それをはっきり言うと、ひ弱なゴルファーが逃げてしまうから、あくまで「平等なゲーム」だと、まことしやかに囁(ささや)くんですな。

 具体的に不平等な例を挙げますと、こんな感じです。

(1)ハンデキャップは、うまい人が決める
 ハンデキャップの語源って、ご存知ですか? もともとは「ハンド・イン・キャップ」という言葉が縮まった、という説があります。意味は、みんな仲よく手をつないで......って、それはアリスの『ハンド・イン・ハンド』だっちゅうの。

 ゴルフが大ブームになった頃のスコットランドでは、プレーが終わったあと、勝った者や負けた者、あるいはお金持ちやお金がない人、誰もがパブに集まってお酒を飲んだそうです。そのとき、帽子の中に各人が出せる範囲のお金を入れ、みんなの飲み代にしたそうです。

 つまり、帽子の中に手を入れることで、誰がどのくらいお金を出したのかわからないようにして、己の良心のもとにお金を供出。そして、ラウンド後の楽しい時間を誰もが平等に分かち合う――これが"平等の精神"を表す、ハンデキャップの始まりらしいのです。

 もちろん、他にも諸説(競馬説、物乞い説など)ありますから、"都市伝説"ということで聞き流してください。

 ともあれ、やっぱりハンデキャップは「崇高な精神じゃん」と思うでしょ。昔はね、確かにそうでした。しかし、現代の日本ではハンデキャップ制度を悪用する輩がほとんどです。

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