号泣したバッバ・ワトソン。苦難を越えて復活、マスターズのV候補へ (2ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 それでも、ラブIIIはワトソンに米国選抜の副キャプテンへの就任を要請。ワトソンはこれを快諾し、チームの勝利にひと役買った。

「プレーはできなかったけど、チームの一員として貢献できたことは、僕にとって生涯の宝だ」

 ライダーカップを終えたあとは、そう喜びの声を発したワトソンだったが、今度はその後に突然、体調を崩した。そして同じ頃、夫人のアンジーさんが足の手術を受けるなど、ファミリーにも問題が起こって、体重は10kgほども減少した。

 ワトソンが当時を振り返る。

「(あのときは)僕は十分に食べることもできなかった。その結果、坂道を転がり落ちるように、成績も下降線をたどっていった」

 2017年はまさに厳しいシーズンとなった。最高位は、JB・ホームズ(アメリカ)と組んだチーム戦のチューリッヒ・クラシックの5位。予選落ち7回、棄権1回という厳しい状況が続く中、「引退」という文字も脳裏によぎったという。

「本当に"引退"を決意するまで、あとわずかなところだった。僕はもう『(ゴルフを)やめてもいい』と思ったんだ。でも、妻は違った。『泣き言を言っているヒマがあったら、しっかりゴルフをしなさい』と叱りつけられた。彼女は僕よりもずっと強いんだ(笑)」

 もとプロバスケットボールプレーヤーのアンジーさんの言葉は、誰よりもワトソンの心に響いた。

「体調を崩した要因は言いたくない。でも、(夫人の叱咤激励を受けて)夏にはようやく体重も戻って、少しずつ自分らしいプレーができるようになった」

 そしてシーズン終了後、当初は長いオフを過ごす予定だったが、新シーズンが開幕したばかりの昨秋にも試合に出場。徐々にゴルフに対する意欲も取り戻していった。

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