ゴルフ界が「視聴者からの指摘は
受け付けない」新ルールを急いだわけ

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 その結果、一気に優勝争いは混沌として、最終的にはトンプソンとユ・ソヨン(27歳/韓国)がプレーオフで争って、ユ・ソヨンが優勝。トンプソンはほぼ手中に収めていたメジャー制覇を逃してしまったのだ。

 これには、ゴルフファンのみならず、現場のプレーヤーも黙っていなかった。タイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)が「視聴者はレフリーではない」と苦言を呈せば、フィル・ミケルソン(47歳/アメリカ)が「あの試合はレキシーが勝つべきものだった」と発言するなどして、大きな論争が巻き起こった。

 そういう意味では、今回のことはそうした論争を受けてのルール改正とも言える。ゆえに、"レキシー・トンプソン・ルール"とも呼ばれているのだ。

 さて、今回の改正によって、視聴者からの指摘は採用されなくなるが、それに代わって、大会中は映像を確認する競技委員が常時配置されることになる。この"映像"というのは、「大会を放映するテレビ局のもの」と限定され、例えばファンがスマホなどで撮影したものは採用されない。
※PGAツアーでは、ファンによる写真・映像の撮影は、個人的な使用に限って許されている。

 映像確認はあるものの、実際に物事を判断するのは、選手がプレーしているうえでの"裸眼"でわかる範囲というのが基準。現在の映像は高画質でありすぎるため、のちの映像で違反が確認されても、「プレー中の判断が妥当だった」とジャッジされれば、ペナルティーは科せられないことになっている。

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