【木村和久連載】『みんゴル』で思い出した、巨匠ピート・ダイの秘話 (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 そのときの又聞きになりますが、制作サイドの方からうかがったピート・ダイの抱腹絶倒のインタビューを、記憶の渦から呼び起こして、ここで一部ご紹介したいと思います。

 まず、ピート・ダイは日本でもたくさんのコースを造ってきましたが、「どのコースがお気に入りですか?」という質問を投げかけたそうです。

 それについて、彼から返ってきた回答はとても意外なものでした。山梨県にある「メイプルポイントゴルフクラブだよ」と答えたというではないですか。

 ピート・ダイのコースイメージと言えば、非常にサディスティックで、「天国か地獄か選びなさい」的なレイアウトですよね。代表的なのは、PGAツアーのプレーヤーズ選手権の会場となるTPCソーグラス(アメリカ・フロリダ州)の17番ショートとか。ほぼすべて池に囲まれたようなアイランドグリーンというのが、定番だと思っていました。

 ならば、日本なら千葉県のきみさらずゴルフリンクスあたりがお気に入りだろうと思うのが普通です。だから、その予想もしなかった回答には、一同かなりびっくりしたそうです。

 そして、その驚きの感想を伝えると、なおも驚くべき答えが返ってきたと言います。

「アイランドグリーンは、スポンサーのリクエストで作っていたんだ。あんな難しいレイアウトを、いろいろなところに造りたくないよ。ゴルフはあくまでもフェアで、誰もが楽しめる設計にしなくちゃ」

 ピート・ダイのコースイメージとは、まさに間逆の発言。一同がさらに驚愕したことは十分に想像できます。

意外にも、難しいコースのレイアウトは好まないというピート・ダイ氏意外にも、難しいコースのレイアウトは好まないというピート・ダイ氏

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