もう優勝できないと思った──イ・ボミが初めて味わう苦悩のシーズン (4ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 今季初優勝を手にしたイ・ボミは、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の樋口久子相談役から「スイングはそんな難しく考えるものではない。シンプル・イズ・ベスト」とアドバイスを受けたことで、「楽にスイングができるようになった」と語っている。ゴルフというスポーツが、どれだけメンタルに左右されるのか、その影響の大きさを改めて実感させられるエピソードである。

 ここまでの戦いぶりについて、改めてイ・ボミに振り返ってもらうと、彼女からこんなひと言が返ってきた。

「本当に、もう優勝できないと思っていました」

 まさしく、今季前半戦はどん底にあったのだろう。しかし、不調にあえぎながらも優勝することができた。再び感覚を取り戻せる手応えも手に入れた。イ・ボミが言う。

「いろんな足りないものを克服して優勝することができたので、私にとって(CAT Ladiesは)非常に大きな、意味のある大会になりました。今までの優勝の中でも、何倍もうれしい勝利です」

 ただ、今季初優勝を飾ったあと、おそらく多くのファンがイ・ボミの快進撃を期待しただろうが、現実は甘くなかった。今季は、2013年の日本女子プロ以来のメジャー優勝を狙っていたが、その日本女子プロは39位タイに終わり、日本女子オープンも47位タイと振るわなかった。

 まだ"完全復活"には至っていないようだ。

 イ・ボミは今、過去に経験したことのない未知の状況に陥っている。何をすればよくなるのか、まだまだ手探りの状態でツアーを戦っているのだ。

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