【木村和久連載】キャンセルと
クローズを巡る、ゴルフ場と客の心理戦

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 クローズの醍醐味を味わうのなら、やはり大雨でしょう。ゴルフ場はコースが水浸しになっても、なかなかクローズにはしません。だって、クローズにしたら、その日の売り上げが飛んでしまうからです。

 フェアウェーが相当水浸しになっていても、カジュアルウォーターの措置で乗り切ってもらおうとします。「ボールは状態のいい場所に移して打ってください」と。コースには起伏がありますから、不思議と打てる場所があるんです。

 問題は水浸しになったグリーンです。コース側からは、ボールの位置を水はけのいい場所に変えて、同じ距離を打つように指示されますが、カップ周りの360度がすべて水浸しになったら、どうにもなりません。水が浮いていると、雨の日のサッカーのグラウンダーパスみたいに、ザブン! ゴロゴロっといった具合で、ボールが前に進まないのです。

 こういう状態になって、ゴルフ場はようやくクローズにします。私も、過去に2、3度クローズを体験しましたが、そういうときはお客さんが大挙してフロントの前に集まり、"クローズ宣言"を待ち構えております。そして、コース側が諦め顔で「本日、大雨のため、クローズとなりました」と言うや、「やった~!」と歓声が上がります。このせめぎ合いが面白いんですよね。

ゴルフ場のクローズが休校ほどうれしいかどうかはわかりませんが...ゴルフ場のクローズが休校ほどうれしいかどうかはわかりませんが...

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