ツアー初優勝でひと皮むけた青木瀬令奈。「次は2勝目、そして五輪に」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 写真●村上庄吾 photo by Murakami Shogo

 翌2016年シーズン、青木は優勝するために何が必要なのか、探しつづけた。ゴルフの力はついてきたが優勝することができない。優勝している選手と自分の間にある差とはいったい何なのか。心理学やメンタルの本を読んだりもしたが、なかなか調子が上がらなかった。

「プラトー(高原現象)というのがあって、技術を重ね、練習してもパフォーマンスが上がらない時期のことを『高原状態』というんです。2016年は私、ここにいるんだって思いましたね。2015年はスイングを改良して進化できたけど、翌年停滞している。それを乗り越えるとまた上にいけるけど、何が足りないのかなってずっと考えていました」

 秋になっても低調が続き、優勝争いに食い込めなくなった。実はこの頃、青木の足に大きな異変が起きていたのだ。

「移動と運転の疲れから右膝に痛みが出たんです。痛いので、そこをかばっているうちに足首が固まったり、腰痛が出たり、疲労も抜けにくくなっていきました。クラブを振ろうにもヘッドが走らない状態でした」

 青木のヘッドスピードは約40m/s程度で、その速さで最大限に飛ばせるスイングに改造した。それを武器にして戦ってきたが、疲労とケガのせいで9月の日本女子オープンの頃には36m/s程度に落ち込んだ。ヘッドスピードが1m/s落ちると飛距離が約7ヤード落ちると言われているので、30ヤード近く距離を落としたことになる。これでは戦う前に大きなハンディを背負ったようなものだ。

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