全英OP5勝のトム・ワトソンに通じる、松山英樹のベストな臨戦過程 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 そうしてトム・ワトソンは、全英オープンの前に、あるいは事あるごとにできる限りリンクスコースを経験するようになった。

 そんなトム・ワトソン同様、松山は今回、全英オープンを前にして元世界ランク1位のロリー・マキロイ(28歳/北アイルランド)がホスト役を務めるアイルランドオープンに出場した。結果的には14位に終わっているが、このリンクスでプレーしたことが、何より貴重なプロセスだと思う。リンクスに心身ともに1度染まることで、イメージも広がっていくはずだ。

 さらに松山は、谷原秀人(38歳)とともに、テニスのウインブルドンを観戦した。もちろん、ロイヤルボックスで、である。ジャック・ニクラウス(77歳/アメリカ)をはじめ、メジャー勝者や世界ランキング1位、2位、3位の選手たちにはそうした特権が許されている。

テニスのウインブルドンを観戦した松山英樹(中央)と谷原秀人(左)テニスのウインブルドンを観戦した松山英樹(中央)と谷原秀人(左) そうした時間を過ごしたことは、大会前のメンタリティーの充実には最適だったと思う。

 なぜなら、1日の間にも「四季がある」と言われるほど、リンクスコースでは目まぐるしく天候が変わる。加えて、高い木々もなく、風が読みにくい状況の中で、イマジネーションを働かせて攻めていかなければいけないコースマネジメントが求められる。要は、体力と技術力に、上質なメンタリティーを撹拌(かくはん)させて4日間、72ホールを戦わなければ頂点に立つことができない――それが、この全英オープンというゲームだからだ。

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