全英OP5勝のトム・ワトソンに通じる、松山英樹のベストな臨戦過程 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 問題はパッティングだ。平均パット数は、1.745で24位である。

 これは、パーオン率のよさから逆の読み捉え方をすれば、バーディーチャンスが数多くありながら、それを逃す場面が多いということだ。ただ一方で、ひとたび噛み合うと、ビッグスコアを叩き出す"チャージ指数"が極めて高いということでもある。

 さて、今回の全英オープンに向けて、松山は実にいい入り方をしていると思う。

 メジャー大会に向けては、誰もが自身のピークを高め、心身ともに充実した状態で初日をスタートしたいと願う。とりわけ、リンクスコースで開催される全英オープンは、どのメジャーよりも大自然と対峙して戦うことになるから、なおさらその思いは強くなる。そのために今回、松山はここまで有益な過程を踏んできている。

 かつて、全英オープンで5度の優勝を飾っているトム・ワトソン(67歳/アメリカ)はこんなことを語っている。

「最初にリンクスコースでプレーしたときは、嫌いだったんですよ(笑)。目指していた弾道どおりにはいかないし、ゲームの構築が異質でしょ。けれども、考えてみれば、自然の中でボールを転がしてグリーンに乗せていく、というのは誰でも経験していることなんです。そう、子どもの頃はそうやってゴルフを覚えたわけです。いわば、リンクスを経験したことによって、自分のゴルフの幅が広がりました。もちろん(自身の)ゲームの幅も奥行きも変わりました」

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