【木村和久連載】猛暑も嫌なヤツも、都合よく解釈すればゴルフは楽しい (4ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 石川啄木は天才歌人と言われた人ですが、若くして病に倒れて亡くなっています。歌集も出していますが、全国区の歌人として認められたのは亡くなってからです。

 ゴルフでいっぱい叩いたとき、私はみんなにこう言います。

「あぁ~、ゴルフでよかった。これが実際の人生だったら、一大事だよ。今日は厄払いの日なんだから、これでいい」

 人生は小さなトラブルが出ている間は、大きなトラブルはあまり顔を出しません。ゴルフで大叩きしたぐらいでの厄なら、大いに結構。帰りは休み休み、居眠り運転しないようにして帰ろう。それでいいのです。

 そして、最後になりましたが、ゴルフは何事も謙虚に、淡々と、礼儀正しく、節度を持って、スコアに一喜一憂せずに臨みたいです。

 その思いを見事に体現しているのは、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の詩ですよね。冒頭だけ記します。

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋(怒)ラズ イツモシヅカニワラッテヰル(中略)ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニ ワタシハナリタイ」

 実に素晴らしい人生訓じゃないですか。そもそもこの詩を発表して売ろうなんて、これっぽっちも考えてなかったところが、宮沢賢治の素晴らしいところです。

 というのも、宮沢賢治が亡くなって、一周忌に親族が集まって彼の遺品を整理していました。そのときに、賢治が日頃使っていた手帳が公開されます。実はその手帳の裏表紙に、この詩が書かれていたのです。つまり、賢治は自分の戒め、自分の生きる指針として、常日頃、この詩を読んでいたのです。

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