【木村和久連載】浮気したいあなた、代償行為のゴルフで我慢しませんか (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 妄想は尽きませぬが、予算(お小遣い)縮小の折、なかなかニュークラブもニューボトルも入手できない。そうお嘆きの諸兄、こうなったら"焼けぼっくいに火がついた作戦"を決行しましょう。かつて使っていた愛用のクラブを、ほっくり返して、また使ってみるのもありです。

 実は最近、10年前に使っていた7番ウッドと、5年前に使っていた5番ウッドを、クラブ置き場で発見して再び使ってみました。きっかけは、五十肩で、思い切りクラブが振れないからでした。じゃあ、せめてよく飛ぶウッドを使ってみよう、となった次第です。

 で、これがすごく活躍して、残り180ヤードってときにナイスオンすることがしばしば。「おまえは軽く振っても飛ぶからなぁ~。たぶん、オレがテクニシャンだからだろ?」なんつって、昔つき合っていた子と10年ぶりぐらいにSNSで出会い、旧交を温めてそこから不適切な関係に進展する――そんなふうに見えて、ちょっと興奮しませんか?

 どうです? ゴルフと浮気は、快楽の上ではかなり似ている部分がありますよね。3番ウッドと5番ウッドを使って、380ヤードぐらいのミドルホールを2オンしたときは、ドーパミンがあふれ出ましたから。はるか昔、狙ったキャバ嬢を口説き落としたぐらいの快感が走るってものです。

 五木寛之先生の名作『青春の門』では、都会に染まってしまった織江が、幼馴染の信介に再会します。そこで"大人のテク"に動揺する信介が、印象的なリアクションをします。

「織江、こ、こげなこと~、どこで覚えたと~?」

 久しぶりに再会した5番ウッドも、「すごかぁ~、おまえ、どっかのプロとつき合っていたんじゃないか~」と、驚くことしきりの"テク"を見せてくれます。しかも、押入れの中で「浮気もせずに、あなたに呼ばれるのを待っていたの」と言うから、泣けるじゃないですか。

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