宮里藍と歩んだ戦友たちの思い。「すべてが完璧」と上田桃子は言った (5ページ目)

  • 古屋雅章●取材・構成 text by Furuya Masaaki
  • スエイシナオヨシ、Getty Images●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi,Getty Images


サントリーレディス最終日に同組で回った成田美寿々サントリーレディス最終日に同組で回った成田美寿々
成田美寿々(24歳)
1992年10月8日生まれ、千葉県出身。今季賞金ランキング28位。
2012年ツアーデビュー。ツアー通算7勝。

 私がゴルフを始めたきっかけも、プロになろうとしたきっかけも、藍さん(の存在)だったんです。それで、2014年の全米女子オープンに出場した際、練習ラウンドをお願いしたんです。そうしたら、私のことを知っていてくれて、快くOKしてくださった。あのときは、本当にうれしかったですね。

 ただ恥ずかしい話、練習ラウンドを私のほうから申し込んだにもかかわらず、緊張しすぎてほとんど喋れなかったんです。それで、藍さんが「あの子、シャイなんだね」って、あとでお母さんと話していたらしいんですよ(笑)。2015年のワールドレディスチャンピオンシップ・サロンパスカップでも、2日間一緒に回らせてもらったんですけど、そのときも舞い上がっちゃって......。自分のゴルフが疎(おろそ)かになるぐらいでした。

 とにかく、私にしてみれば、ゴルファーとしても、ひとりの人間としても「藍さんみたいになりたい」と思わせるほどの人格者。だから、私は"神"と崇めています。

 今回のサントリーレディスでは、もう1回一緒にラウンドできるように密かに狙っています(最終日に実現)。実は、大会前にちょっとへこんでいたんです。そうしたら、藍さんがLINEでメッセージをくれて、「あなたはものすごくいいセンスを持っているんだから、自分を信じて、何事にも前向きに挑戦していこうね」みたいな言葉をくださって。もう、その言葉に救われて、スッを寝ることもできたんです。

 今大会は、藍さんご自身にとって非常に大事な試合であるにもかかわらず、そんなときでも、私に対してもすごく気を使ってくれるなんて、改めて感動したというか、心に染みました。うちの親は、藍さんのことを「娘にほしい」といっています(笑)。

 今回、やめてしまうことはもちろん悲しいです。もっともっと一緒にやっていたい、という気持ちがすごくあります。でも、14年間、第一線でやってきて、私たち女子プロを引っ張ってきてくれた。それは、本当に大変だっただろうと思います。そういう意味では、決して(引退が)早すぎるとは思いません。今はただ、感謝の気持ちしかありません。

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