【木村和久連載】高級ゴルフ倶楽部で
やらかす「ビジターあるある」

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 その後、無難にサインを済ませてロッカー室へ行くや、今度は木製のバカでかいロッカー、マホガニーとかオークっていうの? それに驚くことしきり。しかもロッカーは"コの字型"の配置で、他に誰もゲストはいません。ちょっとした贅沢空間にしばしご満悦です。

 ところが、スパイクを履こうとして靴ベラを探しますが、見当たらなくて困惑。通常は中央のソファー周りのゴミ箱に放り込まれたりしているのですが、どこにあるんだろう? 

 キョロキョロと見回して探してみると、なんとロッカーの中にあるではないですか!? ロッカーひとつごとに靴ベラが、しかも木製の高級なやつがあるなんて、びっくり仰天です。あまりの高級さに、背中に差し込んで掻いてみました......って、おいおいそれは孫の手か?

 いざスパイクを履くや、床がふかふかの絨毯(じゅうたん)敷きだったことに気づいて、思わず後ずさり。実は、前回のゴルフが雨。プレー後、適当にシューズケースにしまったものだから、スパイクには泥やら草やらがべったりとくっついているのです。

 そんなスパイクで歩き回ったりしたら、一歩踏み出すごとに泥が落ちて高級なロッカー室が大変なことに!

「あちゃ~、えらいところに来たもんだ」

 これはやばいと思って、一旦スパイクを脱いで、すかさず洗いにいきました。なんだかなぁ~、豪邸に拾われた野良猫って、こんな気分なんですかねぇ。歩くたんびに足跡がついてって......。

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