下部ツアーにも出られない。どん底にいる堀奈津佳は今、何を思うのか (2ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 厳しい状況にあるが、堀は答えに窮することなく、表情も明るかった。年間2勝を挙げた4年前(2013年シーズン)とは違って、いい意味で"饒舌"になり、精神的に成長しているようにも見えた。

 1年5カ月ぶりのアンダーパーを記録し、その中で気づいたこともあったという。堀が続ける。

「ゲームに集中すること、それが本当に大切なんだなと改めて感じました。悪いときは(自らのプレーの)悪いところにばかり目がいってしまいがちですが、あの日は自分のゲームに集中することにうまく取り組めた気がします。試合中、バーディーをひとつでも多くとらなきゃいけないと思ったし、ピンチがきたら何とかパーで上がらなきゃいけないと思って、いい集中力を保って回り切れた感じがありました。

 2日目も練習ではすごくよかったんですけど、そこはやっぱり(調子自体は)日替わりなところがあるので......。朝、コースに出たら悪くなってしまって......。まだ安定して、いい感覚でプレーできるわけではないのですが、それも含めて、ゲームには集中していかないといけない。(調子が悪い中でも)そこだけは大事にしていきたいな、と思っています」

 プロデビューした当時の堀は、これほどきちんと話ができる選手ではなかった。長らく表舞台から遠ざかり、その中でさまざまな悩みを抱え、人知れず苦しんできたのだろう。そうした過程を経て、人として成長し、自分の思いも明確に語れるようになったのかもしれない。同時に、いろいろなことを考え抜いてきた苦労が、言葉の端々ににじみ出ていた。

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