「無冠の王者」ガルシアのマスターズ
優勝から松山英樹が学ぶべきこと

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 このメンタリティーこそが、今大会のサンデーバックナインの粘りにつながった。前半では一時3打リードしていたが、ローズの追い上げにあって、11番を終えた時点では、逆に2打差を追いかける立場になっていた。それでも、ガルシアの気持ちは最後まで切れることがなかった。

「今日は、本当に一日中、落ち着いていたんだ」とガルシア。実際、13番パー5ではティーショットを大きく左に曲げてしまったが、以前のように怒りを爆発させることはなかった。ボールはブッシュの中に飛び込んだが、冷静にアンプレアブルの処置をしてパーをセーブした。ガルシアが言う。

「あのパーがなかったら、勝てなかった」

 決着がついたのは、プレーオフ1ホール目だった。18番グリーンで、ガルシアが4mのバーディーパットを決めて勝利を飾った。その瞬間、パトロンからは"セルヒオ!"コールが沸き起こった。

 この声は、ガルシアの苦悩の日々を知っているからこそ、起こったものだ。大人になったガルシアの勝利を、誰もが心から祝福していた。

「少しはアメリカでファンができただろうか(笑)。もう37歳だけど、まだまだ僕の人生にはいいことが起こりそうだ。今まで支えてきてくれた人、ファンに感謝したい」

 最後にそう語ったガルシア。今の彼なら、これからもいいことはいっぱい起こるさ――多くの人々がそう思っているに違いない。

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