マスターズへの情念が強すぎた松山英樹。内なる魔物を制御できるか (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●取材・文 text by Mitamura Shoho
  • photo by AP/AFLO

 気合いや「勝ちたい」という夢の強さがある。そして、実際に勝てそうなところまで来ている。だから、余計に気持ちが強すぎる。

 この張り詰めすぎた弦の状態は、時にコントロールを失うことがある。操作不能......。

 そう考えると、松山の4日間、72ホールの、どこかスイッチの入らない、スイッチを入れるチャンスやタイミングを見失って、迷走してしまったようなゲーム内容が納得いくのである。

 松山が結果を出すには、彼の、マスターズ優勝に対する情念のような"魔物"を、何とかしてコントロールしなければいけないのだと思う。張り詰めすぎた弦を、ほんの少しでも緩めれば、自分を追い込まずに心の幅も広がって、もっといいプレー、普段の実力どおりのプレーができるのではないかと感じた。

 その松山は大会後、とてもクールに語った。

「(マスターズで結果を出すには)調子を落とさなかったら、いい話なので。それが、練習で補えるなら、練習で補いますよ。まあ、3日目の後半と今日で、これだけいいショットが打てたので、そこは自信を持っていきたい。パッティングのレベルを上げて、昨年の年末ぐらいのパッティングができれば、絶対に勝てると思う。自信はあるので。それと、状態(のピーク)が、来年はここでくるようにしっかりと練習したいと思います」

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