大爆発のチャンスはあったが、
松山英樹が勢いに乗り切れなかったわけ

  • 三田村昌鳳●取材・文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 まさしく大ピンチだった。けれども、その4mのパットをうまく沈めてパーを死守した。そこが、松山の真骨頂だと思う。

 ホールアウト後、通算2オーバーまで盛り返したにもかかわらず、松山はどこか仏頂面をしていた。その理由は、この12番からの攻めが流れに乗り切れなかったことへの不満だったと思う。

 チャンスはいくつかあったが、結果的には13番、14番もパー。そして、パー5の15番でやっとバーディーを奪ったものの、続く16番パー3では、ティーショットがわずかにそれて、グリーン右のバンカーに入れてしまった。結果はボギー。

 16番のこの日のピン位置は、そのバンカーのすぐ左。そのバンカーとカップの間の、およそ3mの幅の中か、ピンのすぐ手前に落とさなければバーディーチャンスがないという厳しいセッティング。松山はここでもまた、攻めるために無理をしたい状況でピンチを招いて、勢いに乗り切れなかった。

 終盤、17番、18番ホールの松山のゴルフは、見ている者にとってはハラハラドキドキする、スリル満点なものだった。手に汗握るシーンの連続だったが、ともにうまくパーで凌いだ。

 もちろん、松山本人にしてみれば、とんでもなく不満が募る時間帯だっただろう。反省材料である。だが、そこを耐えて凌げるだけのポテンシャルの高さと柔軟性が、今の松山にはある。あとはもうひとつ"ピース"がはまれば......。

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